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宇宙の夜明け

 

よみ方

うちゅうのよあけ

英 語

cosmic dawn

説 明

宇宙の晴れ上がり直後から物質密度の粗密を種としてバリオンからなる天体と宇宙の大規模構造の形成がはじまるが、しばらくは天体がなく真っ暗な時代が続く。これを宇宙の暗黒時代と呼ぶ。ある時点で最初の星(初代星)ができその集まりである初代の銀河ができ、それらの発する光により宇宙が明るくなりはじめる。この時期を宇宙の夜明けと呼ぶ。2024年時点で、134億光年より遠方の宇宙(赤方偏移 z=10 以上;誕生後約4億年より若い宇宙)にある銀河が数個確認されている。これからすると宇宙の夜明けは今から135億年前(宇宙誕生の3億年後)ころと推定される。原始銀河宇宙の再電離も参照。

2024年04月08日更新

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    *ビッグバン宇宙論(インフレーションを含む)に基づく宇宙進化のイメージ図。インフレーションの効果はそれ以降の宇宙膨張に比べて誇張されている。
    https://map.gsfc.nasa.gov/media/060915/ の図に用語の和訳と補足説明を付けて作成(岡村定矩)
    ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の分光観測から134億光年かなたの銀河と確認されたCEERS2_588の画像(拡大図の中心にある赤い天体)。JWSTの3色の画像を合成した代表色カラー画像。(クレジット: NASA, ESA, CSA, Harikane et al.)
    出典 東京大学宇宙線研究所ニュース
    https://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/news/14594/
    各時代における宇宙全体を平均した星誕生率密度(左軸)と紫外線密度(右軸)。青の線は複数のモデルの予想を表しており、これらのモデルは約133億年前 (赤方偏移 z=10) までの観測結果 (灰色) を再現できることが知られていた。最近のジェイムズ・ウエッブ望遠鏡の観測データ(赤印)から、133億年より前にはモデル予想より星の誕生率が高かったことが分かった。
    Harikane et al. 2024, ApJ, 960, 56の図を改変。